CrossHelmet X1を買いました

次世代スマートヘルメット「CrossHelmet X1」が届きましたのでファーストインプレッションをお届けします

IndieGOGOで2019年8月に購入

クラウドファンディングサイト「Indiegogo」にて2019年8月に購入(支援)しました。
ちょうど自分の誕生日ということもあり、誕生日プレゼント(自分への)の勢いで購入。スマートヘルメットといえば「SKULLY AR-1」などが有名でしたが、残念ながら破産申請しましたね・・・
ほかにもNUVIZやその他メーカーが様々なスマートヘルメットを発表しては消えていき・・・を繰り返しており、なかなかデファクトスタンダートと呼べるような製品は登場していない状態です。

今回、CrossHelmetを支援した大きな理由は「日本初のベンチャー企業が開発」しているということ。
今までこういった野心的な製品は海外製品ばかりの印象でしたが、日本初ということもあり応援の意味も込めて購入することにしました。
Indiegogo以外にもKickStarter、Makuakeでもクラウドファンディングを行っており、いずれも目標を大幅に超える支援金を集めていることもあり、期待の高さがうかがえます。

最初に写真をいろいろ載せています

早速使ってみた

今週末にヘルメットが届き、日曜日に市街地を50Kmほど走行してみました。乗車時間は1時間10分ほど。
サイズはM2という最小サイズから2番目のサイズを選択。SHOEIのQwestはLサイズですが、自分の頭には少々大きかったようで、少しゆったりな被り心地です。内装オプションがあればフィット感を調整したいところ。

良かった点

視界が広い

現在使用しているSHOEIの「Qwest」と比較して視界が広いので、見晴らしがよいです。ちょうどジェットヘルメットとフルフェイスヘルメットの中間のような印象です。
ヘルメットの帽体が前後に長いため、口元の圧迫感も少ないのが個人的に好印象でした

風切り音が静か

こちらもSHOEI Qwestとの比較となりますが、CrossHelmetのほうが風切り音が少ない気がします。
CrossHelmetにはノイズキャンセリング機能が備わっているので、その効果が出ているのか、もしくは耳を覆うようにスピーカが配置されているため、もともと外の音をシャットアウトしやすい構造になっているので、その影響かもしれません。いづれにせよ、ライディング中の耳障りな音は少なくなった気がします。

LEDセーフティライト

ヘルメット側面にLEDライトが仕込んであり、電源ONで光るようになっています。
光量はそれほどでもないようですが、夜間であれば十分な明るさがありそうです。
バイクの場合、側面部が発行するような機能が付いていることはまれなので、側面部の視認性を高めるうえで役に立ちそうな機能でした。

以上!!!

良かったと感じた点はここまでで・・・ ここからはぼろくそ不満を書いていきます

不満点!!

まだ50Km、1時間10分しか利用していませんが、不満点がぼろぼろ出てきたのでつらつらと書いていきます

HUDが見にくい

致命的でしょっ!

まずは物理的な見づらさについて
 売りであるはずの360度視界を提供するために、リアカメラでとらえた映像をHUDに表示する仕組みになっていますが、これが非常に見づらい・・・。具体的には、HUDは右目用、左目用で2画面用意されていますが、自分のような眼鏡ユーザーの場合、道路の振動などで眼鏡がずれるとHUDが見えなくなります。
また、ヘルメット自体もずれてしまうとHUDが見えなくなるため、信号待ちなどで頻繁にHUDの調整が必要になります。HUDが見える角度は結構シビアで、少しヘルメットの角度がずれてしまうとすぐに画面が見えなくなってしまいます。
これはヘルメット内装の調整などで、より頭にフィットするよう調整できれば良いのですが、現状そのようなオプションは存在しません。

次にソフト的な部分で
 そもそもHUDの映像にノイズのようなものが載っており、映像が鮮明ではありません。HUDを確認するためにHUDを凝視すると、今度は前方不注意で危ないので、そもそもの「360度の視界を提供してライダーに安全性を提供する」というコンセプトからも外れてしまいます。
 また、トンネルなどに入ってしまうとライト(光)がうまく処理できないようで映像が白飛びしてしまい、後方確認も行いにくくなってしまいます。
 HUD自体も輝度が足りないのか、直射日光を受けるようなシーンでは何が写っているのか判別がかなり厳しいシーンがありました。
トンネル内では映像は見えますが、先ほどの光の問題があり結局何が写っているのかよくわからない。

結論を書くと、リアカメラ + HUDが全く役に立っていないという状態になっている印象です。一番売りであるはずの機能なのに・・・

アプリの使いにくさ

CrossHelmetは専用のスマホアプリが準備されており、ヘルメットの設定やナビの設定を行えます。
ナビにはGoogleマップも利用できるため、目的を検索しても見つからない、ということはなさそうです。
ですが、ナビの操作が使いずらく、検索して出てきたルートを選択できませんでした。
例えば、有料道路未使用とか、そのようなオプションが見つからず、通りたくない道でルート案内が始まります。
それ以前に、検索後にルートが表示されず、ナビを開始してから初めてルートがわかることもあり、未完成なのか、バグっているのか、正直よくわからない状態になってます。
せめて自分でPC上で設定したルートを、ナビ側に転送できるような機能があればまだましですが、そういうこともできない模様・・・
CrossHelmetの登場でハンドルマウントのスマホナビから卒業できると思っていましたが、どうやらまだとってかわるほどの完成度ではないようです。

一応HUDにナビ(次に曲がる場所 + 目的地までの距離)情報が出ますが、そもそもHUDが見づらいためほぼ役に立ちません。

シールドについて

シールドに開閉操作用の爪のようなものが装着されていないため、シールドがとても開けにくい。
HUDの調整でシールドを開ける機会が多いのですが、シールドが開けにくいためHUDの調整もおっくうになります。

バッテリー残量

満充電の状態で1時間10分ほど使用し、バッテリーインジケータが半分と3/4あたりの表示になっていました。
カタログスペックでは4時間~6時間ほどバッテリーが持つとのことですが、そうなると日帰りツーリングでもバッテリーが持たないことになります。
休憩時間でこまめに充電するか、走りながら充電するような運用を行う必要があります。(ただし、バッテリー充電中はリアカメラが使用不可になります)

その他

ヘルメットのファームウェアをアップデートしようとすると、必ずエラーで中断されたり、ヘルメットの受け取りに別途関税(3400円)がかかったり、商品構成が不明(注文時はバイザーにダークを選択していたが、クリアシールド装着、ダークバイザーは付属の商品構成になっていた。クリアシールドはサービス品?)など、事前アナウンスがない変更がいくつかあったりして、ちょっと戸惑っています。
特にファームウェアバージョンアップができないのは不安なので、別途問い合わせ予定です。
ヘルメットのシェル自体も、各種規格はクリアしているとはいえQwestと比較してCrossHelmetは「プラスチック感が強い」というのが正直な感想です。もしもの時にSHOEIほどの防御力は、正直発揮できないのではと思います。

まとめ

はっきり言うと、「現時点で18万円前後で購入する製品ではない」と言うのが正直な感想です。理想と現実に大きなギャップを感じる製品になっていました。
致命的なのはHUDで、「映像が見づらい」「リアカメラの映像が不鮮明」となると、一番売りであるはずの機能が全く役立たずになってしまっています。もし同じような金額をヘルメットに出すのであれば、各社のフラッグシップヘルメットを購入したほうが、現状賢い選択となるでしょう。

スマホアプリの完成度などを見ても、まだまだ発展途上という感じが否めません。
現時点ではYoutuberのような話題性が必要な人や、自分みたいに新型ガジェットに夢を見るような人向けの製品でしょう。

残念ながらTwitterなどでCrossHelmetのハッシュタグを検索すると、似たような感想を持つ方が多数でおそらくCrossHelmetを手に入れた多くの方は、「夢を見すぎた、期待しすぎた」という感想を抱いているのではないかと思います。自分もその一人です。

本当にこれが開発者の目指したクオリティなのか、これで満足なのか、完成なのか・・・
もしこれで開発者が「満足」ということであれば、正直失望します。

ノイズキャンセリングや圧迫感の無いヘルメットデザインは個人的には好印象なので、HUDにこだわらずこのような長所を伸ばすような製品に方向転換しても良いのかなと個人的には思いました。
Ducatiの新型MultiStradaではレーダーによって後方の危険を察知するようなシステムも搭載されているので、危険察知はバイクに任せて、ヘルメットはヘルメットにしかできないことを強化していくのもありかなと思います。

それでも、拍手を送りたい

 はっきり言って、現状ではとてもお勧めできる製品ではありません。
それでも、スマートヘルメットにおいて、破産したり、製品発売まで達成できない企業も多い中、きちんと製品を作り上げ、手元に届けていただいたことには感謝したいと思っています。
 クラウドファンディングサイトで目標を達成する資金が調達できたのも、やはりこの分野に期待する人が多くいるということなのでしょう。そして、やっぱり誰かが先陣を切ってやってみて、ダメなところ、うまくいったところを分析し、そして次の製品に生かしていくことで、夢に見た完成されたスマートヘルメットが発売される日が来るかもしれません。その第一歩を日本初のベンチャー企業が行ってくれたことは、個人的にはとてもうれしいことです。

何回も書きますが、現時点では満足できる製品ではありません。それでもやっぱり、スマートヘルメットの分野は発展してほしいので、安くないお金を払って購入しました。先行体験会も時間を作って参加しました。
今後も製品のアップデートを行っていただき、いつか「CrossHelmet買ってよかった」と思える日が来ることを期待しています。